東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター

SSJDAについて

データアーカイブを巡る状況

マイクロデータの二次的な利用の意義については、我が国においても早くから認識され、1960年代ころから幾つかの提言がなされてきた。最近では、1991年に世論調査協会が「世論調査データ機構設立趣意書」として、詳細な検討に基づくデータアーカイブ設立構想を発表している。

そのような提言が組織的な活動としてなかなか具体化しないなかで、1980年代後半からは、先進的な組織、研究者が個々にその保有するマイクロデータの公開を行う動きが始まっている。具体的には、アメリカのRoper Centerに戦後収録された我が国の世論調査等(関西大学三宅一郎)、選挙行動に関する世論調査(レヴァイアサン・データバンク、東京大学蒲島郁夫ほか)、消費生活に関するパネル調査(家計経済研究所、慶應義塾大学樋口美雄ほか)などを挙げることができる。

データアーカイブに関連する研究としては、科学研究費補助金の特定研究として、1977-79年度に「情報システム」(猪瀬博、社会科学分野古瀬大六)、83-90年度に「多目的総合統計データバンク」(宍戸駿太郎)があり、これらからは各種のディレクトリーが出版された。また、96-98年度には特定領域研究として「ミクロ統計データ」(松田芳郎)の研究が進行した。

データアーカイブ設立に至るまでの、統計調査、社会調査の調査の概要を取りまとめる必要があるが、そのような活動の成果として次のようなものを挙げることができる。

  • 「世論調査年鑑」(全国世論調査(機関)の現況),1954-,内閣総理大臣官房広報室
  • 「統計調査総覧」,総務省統計局統計基準部
  • 「戦後日本の労働調査」,1970,労働調査論研究会
  • 「戦後日本の農村調査」,1977,戦後日本の農村調査研究会
  • 「日本の社会調査データ」,1985,社会調査データバンク研究会
  • 「世論調査による同時代史」,1987,西平重喜
  • 「日本の社会・意識調査」,1994,社会・意識調査データベース研究会
  • 「社会調査の公開データ 2次分析への招待」,2000,佐藤博樹・石田浩・池田謙一編

諸外国の動き

1. 北 米
1946年に世論調査のデータアーカイブがRoper Centerに設立され、その後、米国、カナダの大学、研究機関で多くのデータアーカイブが設立されている。1962年にはICPSR(Inter-university Consortium for Political and Social Research)が設立され、大学等と連携してRoper Centerとともに中核的なデータアーカイブとして活動している。
2. ヨーロッパ
1960年代にドイツ、英国、オランダで中央データアーカイブが設立され、その後、各国もこれに続き、現在21か国に中央データアーカイブが設立されている。これらの組織の連携を図るため、1976年にCESSDA(Council of European Social Science Data Archive)が設立され、データ流通の促進、統合インデックスの公開などを行っている。
3. 他の地域
把握できる限りでは、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエル、南アフリカ、ウルグァイ、中国(台湾)及び韓国にデータアーカイブが設立されている。

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