東アジアにおけるデータアーカイブとその可能性
東アジアデータアーカイブとの連携(NASSDA)
東アジア諸国のデータアーカイブとの間で、社会科学データの保存と公開に関する情報を共有し、データの相互利用を促進するための活動を行っています。2016年に日本(SSJDA)、韓国(KOSSDA)、台湾(SRDA)、中国(CNSDA)が東アジア社会科学データアーカイブネットワーク(NASSDA)を立ち上げ、各国が協力して定期的に国際会議を開いています。
NASSDAに関する詳しい活動は、NASSDAウェブサイトをご覧ください。

- NASSDAメンバーの紹介
韓国の社会調査データアーカイブ
KOSSDA (Korea Social Science Data Archive)
韓国社会科学資料院(KOSSDA)は、社会科学分野研究データの収集と利用の拡大をリードする、韓国を代表するデータアーカイブです。 KOSSDAは、2006年、社会科学の情報環境に応じて、社会科学のデータと文献の統合データベースを提供するために設立されました。その後、教育と研究の結合によるシナジー効果を最大化し、国際レベルのデータアーカイブへと飛躍するため、2015年6月に、KOSSDAの事業と組織をソウル大学アジア研究所へ移管し、新しく運営されています。
- 所蔵データ
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KOSSDAは、政治、経済、社会、心理、文化等、社会科学の全領域にわたる2,500件程の量的及び質的データを提供しています。
- 調査データ:韓国総合社会調査(KGSS)と韓国労働パネル調査を含む調査データの2,300件程
- 質的データ:地域共同体、政治及び社会運動、貧困、海外同胞及び移住労働者問題を主題としたテクスト、録音、動画、イメージ等の様々な質的資料の200件程
- 研究及び教育
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KOSSDAは、広い範囲の専門家ネットワークと人材のプールを活用して、韓国社会の現状を分析し、未来の変化を予測する研究を行っています。それだけではなく、貴重な研究資産である社会科学の基礎学問分野の主要学術活動の成果をデジタル化して保存するためのデータベース構築事業も行っています。同時に、社会科学データの収集と利用をより広げるための方法論ワークショップ、上級統計学の短期講座等の方法論教育プログラムを運営しています。また、データ・マッチング、論文表彰、アーカイブ利用方法の特別講義等の多様な教育サービスを提供しています。
- 国際協力
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KOSSDAは、日本の東京大学のSSJDA(Social Science Japan Data Archive)、中国の人民大学のCNSDA(Chinese National Survey Archive)、台湾の中央研究院のSRDA(Survey Research Data Archives)等の4ヶ国の資料センターと協力して、アジア地域データアーカイブ協力体のNASSDA(Network of Asian Social Science Data Archives)の創設を準備しています。アジア各国のデータの共有と普及を通じて、アジア研究の基盤拡充と交流の拡大を目指します。
KOSSDAは、ソウル大学アジア研究所への移管後、新しいウェブサイトを構築しています。(2018年初に公開予定)。所蔵データは、既存のウェブサイト(http://kossda.or.kr)を通じて引きつづき提供されており、韓国の研究者たちによって多く活用される主要データの250件は、英語に翻訳されてNESSTARを通じて提供されています。多くの皆様のご利用をお待ちしております。
台湾の社会調査データアーカイブ
SRDA (Survey Research Data Archive)
SRDAは中央研究院(Academia Sinica)の人文社会科学研究センター(RCHSS Research Center for Humanities and Social Sciences)に設置された社会調査・統計調査ミクロデータのアーカイブです。
中央研究院は総統府が設置した台湾を代表する研究機関で24の研究所と7つのセンターから構成されています。人文社会科学研究センターは、人文社会系では唯一の研究センターで、既存の学問分野を基軸として運営されている研究所では難しい、特定の領域を超えた活動を担っています。人文社会科学研究センターの中にさらに5つの分野別センターがありますが、その1つが社会調査センター(CSR Center for Survey Research)で、SRDAは社会調査センターの傘下で活動しています。
写真:人文社会科学研究センター
SRDAは1994年に設立されていますが、その任務は、台湾において実施された社会調査データを収集し、利便性を高める加工を施し、そして、学術目的で研究者に提供することです。データの長期的保存も当然重要な任務の1つになります。東アジアで最大規模のデータアーカイブで、対象となる学問領域は、社会学、経済学、政治学、教育学、経営学、公衆衛生、スポーツ、芸術等、多岐にわたります。
所蔵・公開している調査データは主に学術調査と政府統計調査の2種類で、前者については(1)研究者あるいは研究機関からの寄託、(2)社会調査センターで自ら行った調査、(3)台湾の國家科學委員會(National Science Council)の研究資金により行われた調査になります。政府統計については、涵括主計處、內政部、衛生署國民健康局、行政院研考會のデータが利用可能です。
SRDAは国際活動にも熱心で、1998年から英語版のウェブサイトを運営しており、世界中の研究者へデータを提供しています。東京大学社会科学研究所・社会調査データアーカイブ研究センターのSSJDA及び韓国ソウル大学アジアセンターのKOSSDAとの交流も深く、定期的な国際ワークショップの開催を通じて、情報の共有と相互利用の促進に努めています。
SRDAとSSJDAの協力の一環として、データ利用の手引きを相互に翻訳し利用を促進することになりました。次のリンクからSRDAのデータ利用の手引き(日本語版)を入手できますので、是非ご利用ください。
SRDAのホームページはこちらから