2013年2月22日発表
第6回調査(2012年1~3月実施)の集計結果について、プレスリリースを行いました。
「不安社会」日本~格差感と格差に関する5年間の実態分析から見える日本の姿~
- 発表のポイント
-
- 2012年までの5年間に、日本社会では格差感が弱まる傾向にある一方で、将来の生活や仕事に対する希望は失われ続け、暮らし向きに対する不安は徐々に高まり続けている。
- 2000年代後半に社会問題化した格差社会のその後を追跡している研究は少ない。また、同一人に繰返し尋ね続けるパネル調査という手法を採用している点で本調査結果の信頼性は高い。
- 格差縮小の手段である社会保障制度のあり方に社会的関心が寄せられている中で、実証研究に基づく本研究の知見は、議論を深める素材を提供しうるものである。
- 発表概要
-
東京大学社会科学研究所の石田浩教授らの研究グループは、2007年から毎年実施している「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」の2012年調査結果をもとに、日本社会における人びとの格差感と格差の実態について分析を行った。知見は次の通りである。
- 所得格差感は2007年から2012年にかけて弱まった。また、生活全般に対する満足度は2007年から2012年にかけて緩やかな上昇傾向にある。
- それにもかかわらず、将来の自分の仕事や生活に対して希望を持っている人は2007年から2012年にかけて減少傾向にあり、10年後の暮らし向きは悪くなると予想する人が2007年から2012年にかけて増加傾向にある。
社会の格差に対する感覚は薄れているにもかかわらず、むしろ将来への希望は失われ、不安感は増しており、漠然とした不安が日本社会に広まっていることを調査結果は示している。
2000年代後半に社会問題化した格差社会のその後を追跡している研究は少ない。また、同一人に繰返し尋ね続けるパネル調査という手法を採用している点で本調査結果の信頼性は高い。格差縮小の手段である社会保障制度のあり方に社会的関心が寄せられている中で、実証研究に基づく本研究の知見は、議論を深める素材を提供しうるものである。図1 格差感・希望・将来見通し・生活満足度の変化
さらに詳しい内容は、詳細資料をご覧下さい。(PDF版:245KB)