東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター

課題公募型二次分析研究会

2015年度

活動記録

わが国における就業と生活行動との関連性についての多角的研究

研究の概要は こちら

子どもたちの過ごし方、暮らし方――「放課後の生活時間調査」2008年と2013年から

研究の概要は こちら

戦後日本における福祉社会の形成過程にかんする計量社会史

研究の概要は こちら

東日本大震災と復興に関する被災者調査データの二次分析と分析方法の検討

研究の概要は こちら

パネルデータを活用した就労・家族・意識の関連性についての研究

研究の概要は こちら

若年・壮年者をめぐる家族と格差

研究の概要は こちら

東アジアと南欧における労働、教育、ライフスタイルおよび家族にかんする比較研究

研究の概要は こちら

わが国における就業と生活行動との関連性についての多角的研究

テーマ

わが国における就業と生活行動との関連性についての多角的研究

使用データ

0820他 勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート
0629他 ワーキングパーソン調査

研究の概要

 90年代のバブル崩壊以降、景気変動的な要因はあるものの、わが国の不安定就業者層や無業者層は顕在化し、政策的な関心を集めてきた。とりわけ、わが国の若年層や高齢層における不安定就業者層・無業者層では、社会的な孤立の可能性が指摘されており、社会的なネットワークの形成の必要性が議論されている。こうした社会的孤立の様相を実証的に明らかにするためには就業と生活行動の実態を精密に把握することが求められる。
 このようなわが国の不安定就業者層や無業者層における就業の実態や生活行動の様相に関して個人の社会経済的属性や世帯属性がどのような影響を与えるかについては、社会調査の個票データや政府統計ミクロデータを用いて、数多くの実証研究が個別に行われてきた。その一方で、個人の就業と生活行動の関連性については、社会調査の個票データと政府統計ミクロデータを利用(併用)することによって、より多面的な視点から実証分析が可能になるだけでなく、そうした研究成果がわが国の不安定就業者層や無業者層における政策的課題の解決にもつながることも期待できる。以上のような問題意識に立って、本共同研究では、就業と生活行動に関する様々な社会的属性が調査されているワーキングパーソン調査等の社会調査の個票データを利用するだけでなく、就業構造基本調査と社会生活基本調査といった政府統計ミクロデータを利用(併用)した上で、就業と生活行動の関連性について多角的な実証研究を行う。なお、本研究では、社会調査の個票データと政府統計ミクロデータを併用した場合のミクロモデル分析の展開可能性についても、実証的な研究を進めていきたい。

活動記録
2015/07/14第1回研究会を開催しました。
2015/11/03第2回研究会を開催しました。
2016/02/11第3回研究会を開催しました。
2016/03/12第4回研究会を開催しました。

子どもたちの過ごし方、暮らし方――「放課後の生活時間調査」2008年と2013年から

テーマ

子どもたちの過ごし方、暮らし方――「放課後の生活時間調査」2008年と2013年から

使用データ

0724 放課後の生活時間調査,2008
1047 放課後の生活時間調査,2013

研究の概要

 ベネッセ教育総合研究所が2008年と2013年に実施した「放課後の生活時間調査」のデータを用い、小学生から高校生までの子どもたちの生活時間がどのように構造化されているのか、2時点間で何が変化し、何が不変なのかを明らかにすることを目的とする。子どもや青年を対象とした生活時間に関する調査は国際的にみてもあまり多くないものの、"Loisir et Societe / Society and Leisure"Vol.28 No.2(2005年)では青年の生活時間についての特集が組まれ、欧米やオーストラリアの青年の生活時間について国際比較が行なわれている。ここで明らかにされている知見をふまえつつ、日本の子どもの生活時間の特徴を描きだすことも試みたい。加えて、生活時間分析における系列分析の適用可能性についても検討したい。具体的にはさまざまなコスト設定の仕方の違いによって、どのように類型が異なってくるのかを見ることで、コスト設定の特徴を把握し方法論的な展開の可能性を探る。
 「放課後の生活時間調査 2013年」は、2014年度に実施した参加者公募型の二次分析研究会で使用予定のデータであったが、データの準備が間に合わず研究会では使用することができなかった。使用データに当該データを追加し2014年度の研究会から継続する形で進める。(※2013年データは申請時には未寄託であるが、データアーカイブに寄託予定である。)

活動記録
2015/06/23第1回研究会を開催しました。
2015/08/21第2回研究会を開催しました。
2015/11/11第3回研究会を開催しました。
2015/12/18第4回研究会を開催しました。
2016/01/26第5回研究会を開催しました。
2016/03/18研究成果報告会を開催しました。

戦後日本における福祉社会の形成過程にかんする計量社会史

テーマ

戦後日本における福祉社会の形成過程にかんする計量社会史

使用データ

労働調査18 京浜工業地帯調査(従業員個人調査)
労働調査55 貧困層の形成(静岡)調査
労働調査60 「ボーダー・ライン層」調査
労働調査61 福祉資金行政実態調査
労働調査62 老齢者の労働・扶養調査
労働調査64 団地居住者生活調査

研究の概要

 本研究の目的は、1950年代初頭から60年代半ばまでに行われた6種類の調査の再分析を通じて、戦後日本社会で進行した福祉社会形成について実証的に分析することにある。
 これまで、上記の調査のうち、労働調査資料18、55、60の分析を通じて、敗戦期から経済成長期にいたるまでの世帯形成の多様性を検証し、労働調査資料64の分析を通じて、高度経済成長期における生活革新のモデルともなった団地における生活実態の画一性と多様性を示してきた。いずれも計量社会史的アプローチをもちいて、戦後直後の貧困問題から高度経済成長期における「普通」の生活へといたる生活変化について実証的な分析を行った点にオリジナリティがある。
 本年度は、これらの分析の継続を行うとともに、労働力調査資料62である「老齢者生活実態調査」(1963年調査)、労働力調査61「福祉資金行政実態調査」(1962年調査)を復元と2次分析を行う。この2つの資料を復元し、これまでの調査の知見と組み合わせることで、高度経済成長期の途上で実質的に問題化してゆく高齢化問題と、逆に問題が見えなくなってゆく多面的な福祉問題の双方がいかに「問題」とされていったのか、そして、その対応として成立する福祉社会形成にいたる過程がいかなるものであったのかを明らかにすることが期待される。

活動記録
2015/06/05第1回研究会を開催しました。
2015/07/29第2回研究会を開催しました。
2015/09/20第3回研究会を開催しました。
2015/09/21第4回研究会を開催しました。
2015/10/10第5回研究会を開催しました。
2016/01/29第6回研究会を開催しました。
2016/02/08第7回研究会を開催しました。
2016/02/19第8回研究会を開催しました。
2016/03/14研究成果報告会を開催しました。

東日本大震災と復興に関する被災者調査データの二次分析と分析方法の検討

テーマ

東日本大震災と復興に関する被災者調査データの二次分析と分析方法の検討

使用データ

0972 宮城県沿岸部における被災地アンケート,2011
1048 第1回 東日本大震災の復興に関する調査,2012
1049 第2回 東日本大震災の復興に関する調査,2013

研究の概要

 本研究会で主な二次分析の対象とする3つの調査は、東日本大震災直後の2011年4月を起点に、1年後、2年後の被災地の実態を捉える大変貴重なデータである。これらは、質問紙調査の形式をとりつつも、被災者に配慮した傾聴インタビュー調査の膨大な記録を含む点で、極めて豊穣な分析可能性を有している。しかし、それゆえに本データはこれまでに十分に検討ができてこなかったといえる。
 これを受け本研究会では、分析に際し以下の2つの目的を設定する。ひとつは、この豊穣なデータを多角的に再分析することによって、被災から復興の途上にある被災者のありようとその変化を、より鮮明に描き直すことである。ふたつめは、上記分析に際して内容分析やKJ法、エスノメソドロジーといった複数のアプローチを試みることによって、質的な調査データの分析方法を比較・洗練させるとともに、ひいては質的データを取得する際の調査方法を再検討することである。この2つの課題は、相補的な関係をもつものとして進められる必要があり、対象及び方法のそれぞれの専門家の共同研究によってはじめて実現する。
 結果として、各手法の限界や特質を描き出しつつ一種の混合研究法の試みを行うことによって、被災者に配慮した新たな調査手法を開発し、分析手法を洗練させる可能性を示すことができるだろう。また、こうした方法の検討を通し、被災者の語りの複層性とその背後の葛藤を多角的に描き出し、より適切な支援のあり方を提示することを目指す。

活動記録
2015/06/22第1回研究会を開催しました。
2015/09/04第2回研究会を開催しました。
2015/12/02第3回研究会を開催しました。
2016/01/21第4回研究会を開催しました。
2016/03/30研究成果報告会を開催しました。

パネルデータを活用した就労・家族・意識の関連性についての研究

テーマ

パネルデータを活用した就労・家族・意識の関連性についての研究

使用データ

PY050 東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)wave1-5,2007-2011
PM050 東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)wave1-5,2007-2011
PH010 東大社研・高卒パネル調査(JLPS-H)wave1,2004.3
PH020 東大社研・高卒パネル調査(JLPS-H)wave2,2004.10
PH030 東大社研・高卒パネル調査(JLPS-H)wave3,2005.10

研究の概要

 これまでの階層研究においては、人々の現在の就労状況や意識が、出身階層や経てきた学校教育、家族の状況など、様々な要因によって規定されていることが明らかになっている。そして、これらの要因が現在の就労状況や意識を規定する複雑なメカニズムを解明するためには、パネルデータを活用する必要があることが指摘されている。パネルデータを活用することで、個人の観測されない異質性を排除した上での厳密な因果関係の分析を行うことができるのに加え、ライフコースの視点を取り入れた分析を行うことができるという、大きな利点がある。一方で、階層研究の分野においても、パネルデータの蓄積が進められており、上記の分析を行うための準備が整いつつある。この研究会の目的は、東京大学社会科学研究所が行ったパネル調査(若年・壮年パネル調査、高卒パネル調査)のデータ分析を通じて、現代の人々の意識や就労状況が規定されるメカニズムについての精緻な分析を行うことにある。具体的には、婚姻関係や家族関係の変化が、男性・女性の就労に影響を与えるのか、学歴がその後のライフコースにどう影響を与えるのか、あるいは、雇用形態や経済状況、労働環境の変化が、家族関係や人々の意識に影響を与えるのかなどの問いに答える。これらの分析を通じて、意識や行動の変化やライフコースにおける選択が規定されるメカニズムを、明らかにすることができると考える。

活動記録
2015/06/27第1回研究会を開催しました。
2015/10/18第2回研究会を開催しました。
2015/11/08第3回研究会を開催しました。
2016/02/15第4回研究会を開催しました。
2016/03/20研究成果報告会を開催しました。
2016/08研究成果報告書を刊行しました。

若年・壮年者をめぐる家族と格差

テーマ

若年・壮年者をめぐる家族と格差

使用データ

PY050 東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)wave1-5,2007-2011
PM050 東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)wave1-5,2007-2011

研究の概要

 少子高齢化やグローバル化の進展により、日本社会は大きく変容してきた。雇用の流動化や民営化・商品化の流れは格差の拡大をもたらすが、一時点における格差の存在以上に問題なのは、格差が世代間/世代内で連鎖・蓄積することである。研究目的と意義は、(1)出身階層(定位家族)の影響および家族形成に焦点をあて、世代間/世代内における格差の連鎖・蓄積の実態を把握し、その生成メカニズムを実証的に明らかにすること、(2)多様な研究者による議論を通じて生み出された研究成果を公表し、学術的・社会的貢献を行うこと、の2点である。
 「出身階層は教育・職業的達成に影響し、それはライフステージ全般に及ぶ」という仮説に対しては、「(親の学歴・職業・住宅など)出身階層が低いと子どもの教育・職業達成に負の影響を及ぼすが、それは青年期以降も持続し、格差が拡大・累積する」と予想できる。さらに「初職および現職が家族形成のタイミングに影響する」との仮説には、「非正規やブルーカラーほどタイミングが遅れる」と予想できる。コーホートの違いやジェンダーの違いも考慮する。統計的なバイアスを補正しながら、これらの目的を達成するためには縦断的データがふさわしく、東大社研・若年/壮年パネル調査を利用したく申請する次第である。分析にあたってはデータの特性を十分に生かす分析手法を用いるよう努めたい。

活動記録
2015/06/27第1回研究会を開催しました。
2015/10/18第2回研究会を開催しました。
2015/11/08第3回研究会を開催しました。
2016/03/07研究成果報告会を開催しました。

東アジアと南欧における労働、教育、ライフスタイルおよび家族にかんする比較研究

テーマ

東アジアと南欧における労働、教育、ライフスタイルおよび家族にかんする比較研究

使用データ

PY050 東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)wave1-5,2007-2011
PM050 東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)wave1-5,2007-2011

研究の概要

 近年、多くの国々が人口の高齢化に直面し、また同時に社会保障制度の維持の困難に直面している。人口学的な動態については、とりわけ南欧諸国と東アジア諸国に類似性がみられ、背景としての「家族」のあり方と社会の変化との関連性の存在が指摘される。他方で、両地域の異同につき、個人レベルの縦断的データを用いた分析、かつ国際比較的な視点からは明らかにされていない点が多いといえる。学術的・政策的な含意を得るためにも、両地域における社会の様相のより厳密な把握が必要となると考えられる。本研究では、東アジア諸国と南欧諸国――日・韓・西・伊――における、労働、教育、家族形成、ライフスタイルおよびそれらと家族との関連のあり方についての類似性と異質性を各国の縦断的データを用いて探究する。縦断的データを用いることによって、より精密に多角的な視点から個人の行動パターンの追求が可能となる。加えて、国際比較的な視点から各国の異同を相対化することにより、多方面からの日本への政策的含意を得られることが期待できる。分析には、Japanese Life Course Panel Survey (JLPS)データを中心に、イタリアおよびスペインのEuropean Community Household Panel (ECHP) Survey、韓国のKorean Labor and Income Panel Study (KLIPS)を用いて実証分析を行う。また本研究では、併せて、同4カ国におけるマイクロデータの利用可能性についてのサーベイを行い、社会科学研究の再現性の向上にも貢献をする。

活動記録
2015/06/30第1回研究会を開催しました。
2015/08/04第2回研究会を開催しました。
2015/10/02第3回研究会を開催しました。
2016/02/04研究成果報告会を開催しました。

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