東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター

課題公募型二次分析研究会

2024年度

活動記録

社会調査データの合併による二次分析研究の刷新

  研究の概要は こちら

現代日本の社会変動とライフコースに関する研究

  研究の概要は こちら

デジタルツールを活用した孤立孤独の軽減とWell-Beingの向上に関する総合的研究

  研究の概要は こちら

西暦二千年紀前後における人類の価値観の動態

  研究の概要は こちら

高齢期の望ましい就労の在り方に関する研究

  研究の概要は こちら

日本の子育て格差

  研究の概要は こちら

戦後福祉国家成立期の労働・福祉・教育をめぐる調査データの二次分析

  研究の概要は こちら

現代における高校生の進路選択プロセスの解明

  研究の概要は こちら

社会調査データの合併による二次分析研究の刷新

テーマ

社会調査データの合併による二次分析研究の刷新

使用データ

1417-1421  日本版General Social Surveys <JGSS-2000~2005> 
PY140  東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)wave1-14, 2007-2020
PM140  東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)wave1-14, 2007-2020
0191   家族についての全国調査,1999(第1回全国家族調査,NFRJ98)
0400   全国調査「戦後日本の家族の歩み」(略称:NFRJ-S01),2002
0517   家族についての全国調査,2004(第2回全国家族調査,NFRJ03)
0817   家族についての全国調査(第3回全国家族調査,NFRJ08),2009
0761   1975年SSM調査,1975
0762   1985年SSM調査,1985
0763   1995年SSM調査,1995
0764   2005年SSM日本調査,2005
1508   2015年SSM日本調査,2015
1374   SSP-I2010調査:2010年格差と社会意識についての全国調査(面接), 2010
1375   2015年階層と社会意識全国調査(第1回SSP調査), 2015
1594   教育と仕事に関する全国調査(教育・社会階層・社会移動全国調査,ESSM2013),2013
0133   職業移動と経歴調査(第2回男子調査),1981
0134   職業移動と経歴調査(第2回女子調査),1983
0135   職業と家庭生活に関する全国調査(第3回職業移動と経歴調査),1991
1075   結婚と家族に関する国際比較調査,2004

研究の概要

 国内の社会調査データの利用をめぐる環境はこの二十年余で飛躍的に改善し、既存社会調査データをより有効に活用することが求められている。既存社会調査の統合は、複数時点の比較やコーホート間の比較を可能にするとともに、通常の規模の社会調査では十分に捕捉できない対象者を分析するうえで重要な方法である。また社会調査データには公的統計では収集されていない種々の項目が聴取されており、その独自性を活かすうえでも統合データの構築は有益である。しかしながら既存社会調査データの統合は各研究者が個別に実施するにとどまっていることから、本来必要でない多くの労力が割かれ、作業の誤りのリスクは大きく、かつ作業の負担ゆえに答えられるべき多くの重要な研究課題が未解決のまま残されている。 本研究の目的は、既存社会調査を合併したデータを用いて、不平等に関わる問いに答えることにある。2023年度の同研究会では、全30の社会調査データを合併し主要変数をハーモナイズするStataコードを作成して統合データを構築し、その特徴を掴むとともに、いくつかの分析に着手した。本年度はデータの分析を進め、複数の研究者の視点から合併データを用いた実証的研究を実施し、研究成果産出へとつなげる。また参加者の問題関心に応じて、未だハーモナイズされていない変数をさらに整備することを検討しているほか、新たな調査データが利用可能となった場合、それを統合データに加えることで、より豊富かつ網羅的な統合データを構築する。

活動記録
2024/06/03第1回研究会を開催しました
2024/07/22第2回研究会を開催しました
2024/08/23第3回研究会を開催しました
2024/10/02第4回研究会を開催しました
2024/11/15第5回研究会を開催しました
2024/12/26第6回研究会を開催しました

現代日本の社会変動とライフコースに関する研究

テーマ

現代日本の社会変動とライフコースに関する研究

使用データ

PY140,PM140   東大社研・若年壮年パネル調査
PH110       東大社研・高卒パネル調査
1508      2015年SSM日本調査

研究の概要

  ライフコース研究は、人生におけるさまざまな出来事によって生じる地位や役割の移行に焦点をあてる。これまでに職業(職歴)や結婚・出産(家族歴)、住居(住宅所有の変化)などの多様なテーマで研究が蓄積されてきた。「移行」に着目した研究では、地位や役割の変化が生じる要因や、そのメカニズムの探求が行われている。また、地位や役割の維持や変化の結果として形成されたライフコースの内容そのものに着目し、職業や結婚など各領域の経歴の「パターン」を分析する研究も進められている。いずれも、個人が歩んできた人生の内容を記述・分析することで、マクロな社会変動とミクロな個人生活史の関連を検討する研究である。 ライフコースの計量的な実証研究は、パネルデータ等による長期的な経歴データが蓄積されてきたことと、イベントヒストリー分析に代表されるような経歴データの分析手法が広く用いられるようになったことにより発展してきた。特に分析手法に着目すれば、近年では経歴データの類型を抽出するための系列分析(Sequence Analysis)の適用が試みられており、職歴や住居歴、生活時間等さまざまなテーマで経歴のパターンに関する研究成果が報告されている。本研究会では、個人の地位や役割の維持/変化を生じさせるような人生の選択が、当該社会の構造的背景のもとで行われるという仮説を設定し、最新のデータを用いた計量分析によってその検証を試みる。

活動記録
2024/06/08第1回研究会を開催しました。
2024/08/26第2回研究会を開催しました。
2023/10/12第3回研究会を開催しました。
2024/11/16第4回研究会を開催しました。

デジタルツールを活用した孤立孤独の軽減とWell-Beingの向上に関する総合的研究

テーマ

デジタルツールを活用した孤立孤独の軽減とWell-Beingの向上に関する総合的研究

使用データ

1596   ICT等の活用に関する保育者向けアンケート調査 
PM140  東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)wave1-14,2007-2020
PY140  東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)wave1-14,2007-2020

研究の概要

 現代社会において、若年層および壮年層の孤立と孤独は心の健康問題の増加が大きな社会問題となっています。COVID-19を契機に、この問題は拡大し、子どもの自殺の増加にもつながっています。ベネッセによるWell-Beingの調査より、親の幸福感が高いと子どもを幸福感が高いことが示されていました。若年層および壮年層ともに、幸福感を高めることが肝要かと考えられます。 また、デジタルツール、特にインターネットやMetaverse、AI技術などは、人々のコミュニケーションスタイルを根底から変える力を持っています。この研究は、これらの技術が個人の社会的つながりと心理的Well-Beingにどのように貢献できるかを明らかにし、効果的な介入戦略を提案します。

活動記録
2024/07/02第1回合同研究会を開催しました
2024/09/30第2回合同研究会を開催しました
2024/12/03第3回合同研究会を開催しました

西暦二千年紀前後における人類の価値観の動態

テーマ

西暦二千年紀前後における人類の価値観の動態
―世界(グローバル・パースペクティブ)と日本(ローカル・パースペクティブ)における比較研究―

使用データ

1459 世界価値観調査Wave1-7,1981-2020
1532 第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査,2022
1560 グローバル就業実態・成長意識調査(18ヶ国・地域データ),2022
0189 ギャラップインターナショナルミレニアム調査,1999
0262 生活者の価値観に関する調査,2001 0604 アジア・ヨーロッパ調査(ASES),2000
0012 日本人の生活価値観調査,1996
0112 日経10カ国意識調査,1986
0167 日本人の生活価値観調査,1976

研究の概要

 西暦二千年紀前後に世界情勢は様々に変化した。二千年以前には冷戦崩壊と欧州連合の始動、以降には9・11テロと米国主導の国際体制そして感染症における世界的混乱、日本もこれらグローバルな影響のほか、以前のバブルとその崩壊に続く長期デフレそして阪神淡路、以降にも東日本大震災など南海トラフ巨大地震発生を危惧させる天災が続き、日本独自のローカルなパースペクティブ(視点)も看過できない。 本研究は、グローバル、ローカルな価値観の動態を追い、高度情報化、グローバル化が急速に進んだ二千年紀前後の約40年について、『世界価値観調査Wave1-7,1981-2020』等を用い、世界そして日本の価値観がいかに変化したかを分析し、人類の価値観の認識を両パースペクティブから比較研究する。 推測される仮説三点は、①上述の世界情勢の変動によって価値観もグローバルに連動変化する②人類の価値観は二千年紀終末思想による宗教的要因など長期、周期的な変動要因が大きい③二千年紀前後の価値観に大きな変化は見られず、ローカルな地域による独自の価値観、あるいは人類に共通の価値観を保持し続けていた、などである。 本研究の意義は、人類の価値観がグローバルに共有されているか否か、現代の日本と世界の価値観の相違について実態を把握し、データや各種統計から導かれた結果を視座として21世紀を迎えた人類が新千年紀において共感・共有できる価値観や方向性は何かを例証することにある。

活動記録
2024/07/02第1回合同研究会を開催しました
2024/09/30第2回合同研究会を開催しました
2024/12/03第3回合同研究会を開催しました

高齢期の望ましい就労の在り方に関する研究

テーマ

高齢期の望ましい就労の在り方に関する研究

使用データ

東大社研・壮年パネル調査wave1-14,2007-2020

研究の概要

 「全世代型社会保障改革」のもとで「生涯現役」社会が推進されている。そうした状況にあって、高齢者の労働と生活に変化が起きていると考える。申請者らの研究では、高齢期の労働生活にどのような変化が現れてきているか、近年増加している働く高齢者と、働いていない高齢者の間にはどのような違いがあるのか、働く高齢者が労働をポジティブに受け止められる条件は何か明らかにしたい。 「人生100年時代」に高齢期において労働も社会参加の一つとして重要性をもつ中で、高齢期労働が低収入・不安定就業や貧困と同義語とならないようにするために、高齢期の望ましい就労の在り方、就労と社会保障との関連などについて、高齢者の労働と生活に着目して分析をすすめる。高齢者の労働意識、生活意識をモデルに含めて分析することで、高齢者の就労ニーズと生活実態の関係を詳細に分析する。

活動記録
2024/06/18第1回研究会を開催しました
2024/07/30第2回研究会を開催しました
2024/09/17第3回研究会を開催しました
2024/10/17第4回研究会を開催しました
2024/10/30第5回研究会を開催しました
2024/12/12第6回研究会を開催しました

日本の子育て格差

テーマ

日本の子育て格差

使用データ

1571  子どもの生活と学びに関する親子調査 Wave1~7,2015-2021
社会生活基本調査
21世紀出生児縦断調査

研究の概要

 近年、親学歴によって育児時間などの子どもへの関与(parenting)の格差が拡大している点が指摘される(Kalil and Ryan 2020)。こうした状況に対して、経済学、社会学、人口学それぞれの領域で検討が行われ、子ども期の発達や教育的なアウトカムに対する親の社会階層の影響力が強まっていることをいずれも示唆している(Doepke and Zilibotti 2019; Lareau 2011; McLanahan 2004)。 日本を含む東アジアの文脈で、こうした命題を検証した研究はまだ限られるが(Raymo et al. 2023)、日本の事例は子育ての階層差と世代間の地位の連鎖を考えていく上で重要な知見を提供すると予想される。さらに、子育ての格差研究は、社会学・経済学・人口学・教育学といった複数の分野にまたがっており、研究者が単独で研究するよりも、複数の分野に属する研究者が研究会を組織して知見を集約することが肝要であると考えられる。 以上の問題意識を踏まえ、本研究は子育てなどの家庭環境の階層差、及びそれらが子どもの学力・発達とどのような関係にあるかを包括的に検討する。具体的には、子育てに関連する複数の指標(例:子どもと過ごす時間、しつけ、学校外教育投資、教育期待など)と社会階層の関連を検討する。その上で、それらのうち、どれが子どもの学力・発達と関連するかを検討する。さらに、親の学歴や所得といった伝統的な社会階層指標以外にも、家族構造(ひとり親かどうか)および学校や地域といったメゾレベルの要因にも注目する。

活動記録
2024/08/20第1回研究会を開催しました
2024/10/30第2回研究会を開催しました
2024/12/24第3回研究会を開催しました

戦後福祉国家成立期の労働・福祉・教育をめぐる調査データの二次分析

テーマ

戦後福祉国家成立期の福祉・教育・生活をめぐる調査データの二次分析

使用データ

0001    新規学卒者(中卒)労働市場調査,1953
1207    京浜工業地帯調査(従業員個人調査)
1214    貧困層の形成(静岡)調査
1311    団地居住者生活調査
1331    「ボーダー・ライン層」調査
労働調査24 国鉄女子労働者調査
労働調査56 失対日雇(飯田橋)職歴・生活歴調査
労働調査61 福祉資金行政実態調査
労働調査62 老齢者生活実態調査
労働調査63 ソーシャル・ニーズ調査

研究の概要

  2010年より申請者が東大社研と協力しながらデータ復元を開始し、また、2011〜2021年度までの11年間、橋本健二、森直人、渡邉大輔、石島健太郎の各氏に代表として協力を得ながら、社会科学研究所が所蔵する労働調査資料の復元二次分析を課題公募型二次分析研究会として行ってきた。その結果、戦後福祉国家形成期における労働・福祉・教育の様子が素描されると同時に、当時の別の統計資料との接合や、展開期の制度への目配り、世帯を対象としたデータを扱う方法の洗練、ひいては本復元データが持つ実証的射程など、こうした復元データの分析に特殊な課題も浮き彫りとなった。さらに、2022年度からは別途交付された予算によって、長年の課題とされていた「国鉄女子労働者調査」と「ソーシャル・ニーズ調査」の復元を行い、研究者が分析できるレベルまで復元することができた。 本年度は、以上の成果を踏まえつつ、これらの復元データについて、公開可能なデータの寄託を目指しながら、萌芽的研究報告の報告を支援しあっていく。そのため、1か月に1回程度、研究会を行い、分析内容を原稿の検討、新しい分析内容についての報告、必要に応じて集中的なクリーニング・コーディング作業を行う。この作業のなかで、若手研究者に作業補助を仰ぐ。このほか、当時の調査にかかわった研究者への聞き取り調査を必要に応じて行う。これらの作業と分析報告を積み重ねていくことにより、復元データの二次分析からこそ新たに生み出される戦後社会像の析出を目指す。

活動記録
2024/06/14第1回研究会を開催しました
2024/06/24第2回研究会を開催しました
2024/07/24第3回研究会を開催しました
2024/10/04第4回研究会を開催しました
2024/11/07第5回研究会を開催しました
2024/12/26第6回研究会を開催しました

現代における高校生の進路選択プロセスの解明

テーマ

現代における高校生の進路選択プロセスの解明

使用データ

1571 子どもの生活と学びに関する親子調査 Wave1~7
寄託予定 子どもの生活と学びに関する親子調査 Wave8~9
1371,1372,1575,1576 高校生活と進路に関する調査2018,2019,2021,2022

研究の概要

 これからの社会で求められる資質・能力の変化を踏まえ、2020年以降、大学入試改革が進んでいる。またこの間、新型コロナウイルス感染症が高校生の学校生活に影響を及ぼすなど、高校生の進路選択を取り巻く状況が大きく変化しつつある。このような中で、高校生の進路選択プロセスの変容と課題を、定量的なエビデンスとして捉えることは重要と考えられる。例えば、大学入試で問われる資質・能力が変化する中、その選抜方法も、知識・技能の習得状況を試験で問うものから、各大学のアドミッションポリシーに従って、書類や面談、実技等などを通して選抜する、推薦型や総合型の選抜が採用されつつある。しかし、多様な資質・能力を評価できているかどうかは、難易度の高い大学の総合選抜の進学者に限られ、難易度が低い大学への進学者は高校での学習時間が短いといった課題も指摘されている。近年の年内入試の増加を踏まえると、大学進学を目前に控えた高校卒業までの資質・能力形成の課題は学びの接続に関わる課題の1つだが、まだ明らかにはされていない。また、資質・能力の育成に向けた教育課程の変化として、探究学習の充実が挙げられる。探究学習を意識した教員や授業は増えているが、子どもの多様な資質・能力や進路選択の充実につながっているかも検証する必要がある。こういった課題に対して、2015年以降の経年比較に加えて、高校生活や進路決定前後の縦断分析が可能なパネルデータを用いて分析を行い、議論する。

活動記録
2024/07/01第1回研究会を開催しました
2024/08/22第2回研究会を開催しました
2024/09/11第3回研究会を開催しました
2024/10/24第4回研究会を開催しました
2024/11/14第5回研究会を開催しました
2024/12/18第6回研究会を開催しました

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