2018年度
活動記録
働き方の多様化と階層,意識構造の変容
戦後福祉国家成立期の福祉・教育・生活をめぐる調査データの二次分析
進路選択の決定要因分析―高校生の追跡データを用いた定量的分析―
家族構造が子どもの達成に与える影響についての比較研究
公開データを用いた社会階層構造の検討
現代日本における格差・不平等の趨勢とメカニズムに関する研究
ワーク・ライフ・バランスに関するマイクロデータの二次分析
現代日本における生活時間の構造と変化に関する多角的研究
戦後日本の社会意識の変容過程についての計量社会学的研究
質的データの二次分析による東日本大震災2年目にみる仮設住宅の生活実態の解明
日本人海外就業・駐在経験者の日本でのキャリア経験に関する二次分析
高校生の進路意識と、その後のフォローアップ調査の基礎的分析
ダイアド・データを用いた家族研究の検討:夫婦、親子、きょうだい関係を中心として
働き方の多様化と階層,意識構造の変容
- テーマ
- 使用データ
0253,0380,0410,0535,0629,0782 ワーキングパーソン調査(2000,2002,2004,2006,2008,2010,2012,2014)
- 研究の概要
グローバル化など社会構造の変動によって働き方は多様化し,社会階層の構造や人々の意識構造も刻々と変容している。この点に関して,社会学では,主に社会的資源へのアクセスへの機会格差の側面から,経済学では賃金をはじめとする結果の格差を中心に,非常に多くの研究が蓄積されてきたが,残されている課題も多い。例えば,産業や職業構造の変化を踏まえた上で,多元化した階層構造をより的確に捉える試みや,多様な就業実態とそれがもたらす労働者の意識格差に関して,教育,労働,福祉等の社会制度の影響と個人の社会経済的属性や世帯属性との影響を区別して捉える点などが挙げられる。 これらを明らかにすることは,関連分野における学問的インプリケーションを導くだけでなく,不安定就労の常態化や格差の固定化といった喫緊の社会問題に対して政策的な提言をもたらすことが期待できる。ただしそのためには,社会調査の個票データだけでなく,長期間に渡って職業等に関する極めて詳細且つ膨大な情報を収集している政府統計ミクロデータを活用(併用)することが望ましい。そこで本共同研究では,就業に関する様々な属性が調査されているワーキングパーソン調査等の社会調査の個票データに加えて,就業構造基本調査や21世紀成年者縦断調査,転職者実態調査,就業形態の多様化に関する総合実態調査といった政府統計ミクロデータを利用し,就業実態と社会階層・格差,意識との関連性について,様々な角度から実証研究を行う。
- 活動記録
2018/12/12 第1回研究会を開催しました。
働き方の多様化と階層,意識構造の変容
戦後福祉国家成立期の福祉・教育・生活をめぐる調査データの二次分析
- テーマ
- 使用データ
労働調査18 京浜工業地帯調査(従業員個人調査)
労働調査55 貧困層の形成(静岡)調査
労働調査60 「ボーダー・ライン層」調査
労働調査61 福祉資金行政実態調査
労働調査62 老齢者の労働・扶養調査
労働調査64 団地居住者生活調査- 研究の概要
2011年度より2016年度までの6年間、橋本健二、森直人、渡邉大輔の各氏が代表となり、社会科学研究所が所蔵する労働調査資料のデータの復元を課題公募型二次分析研究会として行い、データの復元と基礎的分析の成果をあげてきた。データを復元しながら、二次分析を行ってきた点でこれまでの研究会の意義は極めて大きかった一方で、復元に全体の労力のかなりの割合を割かざるを得ず、データの分析が残念ながら不十分となっているものも散見される。そこで本研究会では、2カ年をかけて、復元データの分析を中心的活動とし、その成果として、書籍の刊行と公開データの寄託を行うことを最大の目標としており、本年度は2カ年目にあたる。 具体的には、1965年に実施された「団地居住者生活者調査」の二次分析を中心とした住宅と生活構造に関する研究成果と「福祉資金行政実態調査」や「老齢者生活実態調査」あるいは「貧困層の形成(静岡)調査」「ボーダー・ライン層調査」の二次分析を中心とした戦後福祉国家形成期の総合的研究成果をまとめながら、データの寄託を行うことを目標としている。この目標達成のために、2か月に1回程度の分析報告会を繰り返し実施し、書籍刊行に向けた研究会を行う。また必要に応じて、作業データ公開に向けた集中的なクリーニング・コーディング作業を行う。この作業のなかでは、作業補助を仰ぐことも予定している。これらの作業と分析報告を積み重ねていくことにより、復元データの二次分析からこそ新たに生み出される戦後社会像の析出を目指していきたい。
- 活動記録
2018/06/30 第1回研究会を開催しました。 2018/08/07 第2回研究会を開催しました。 2018/09/22 第3回研究会を開催しました。 2018/11/23 第4回研究会を開催しました。 2019/01/27 第5回研究会を開催しました。 2019/02/21 第6回研究会を開催しました。 2019/03/05 研究成果報告会を開催しました。
戦後福祉国家成立期の福祉・教育・生活をめぐる調査データの二次分析
進路選択の決定要因分析―高校生の追跡データを用いた定量的分析―
- テーマ
- 使用データ
0892 高校生の進路についての追跡調査(第1回~第6回),2005-2011
0747 韓国青少年パネル調査(中学・高校,KYPS-J),wave1(2003)-wave6(2008)- 研究の概要
高校生・大学生の進路選択は個人にとっては将来の所得を決定する重要な機会であるとともに、国にとってはその国の将来の人的資本の分布を決定し、国の成長力を左右する重要な要因である。進路選択の決定要因分析の国内の先行研究は振り返り調査を用いた研究が中心となっており、個人の回答が進路選択時の実態とずれている可能性を排除できない問題がある。 本研究では進路選択前から調査を実施している「高校生の進路についての追跡調査」などの追跡調査データを用いることで、振り返ることによるバイアスが基本的に想定されないデータを用いて、高校生・大学生の進路選択の決定要因および過去の進路選択と職選択との関係を定量的に分析することを目的としている。昨年度の研究では同データを用いて、1)高校卒業後の進路選択、2)大学進学時の専攻分野選択、3)修士課程への進学の決定要因分析や、4)奨学金の受給が大学生の生活に与える影響、5)進路選択決定要因の地域間比較を進めてきた。今年度はこれらの分析をより詳細に進めるとともに、パネル・データの特性をいかして、6)大学生時代のタイムユースと大学卒業後の進路選択との関係、7)進路選択と初職選択との関係、9)進路選択決定要因の日韓比較、などの分析も行う。 本研究の結果はミクロレベルでは個人の進路選択の際の参考情報になるとともに、マクロレベルでは社会のニーズに柔軟に対応できる新たな教育システムや雇用システムを検討する上での基礎資料としても活用できると考えられる。
- 活動記録
2018/06/14 第1回研究会を開催しました。 2018/07/26 第2回研究会を開催しました。 2018/09/11 第3回研究会を開催しました。 2018/11/15 第4回研究会を開催しました。 2019/01/11 第5回研究会を開催しました。 2019/02/27,28 第6回研究会を開催しました。 2019/03/28 研究成果報告会を開催しました。
進路選択の決定要因分析―高校生の追跡データを用いた定量的分析―
家族構造が子どもの達成に与える影響についての比較研究
- テーマ
- 使用データ
0817 家族についての全国調査(第3回全国家族調査,NFRJ08), 2009
0747 韓国青少年パネル調査(中学・高校,KYPS-J),wave1(2003)-wave6(2008)
0764 2005年SSM日本調査,2005- 研究の概要
社会階層と教育に関する研究は、子どもの達成に対する親の学歴、職業、収入といった社会経済的背景の影響だけではなく、家族構造そのものの影響にも関心を向けてきた。例えば、子どもにとってのきょうだいの数や出生順位の影響である。きょうだい数が多いことは、他の要因をコントロールしても、子どもの教育達成と負の関連があることが明らかにされている。また出生順位については、日本ではかつては長子が不利だったが、現在では出生順位が後の方が、不利になる傾向が明らかにされている。また、ひとり親世帯の影響や親の子どもへの関わり方などにも関心がもたれ、近年積極的に取り組まれている。このような家族構造の影響は、少子化社会と呼ばれる現在において、ますます重要になっていると考えられる。かつては2人きょうだいとくらべて不利な傾向が報告されていたひとりっ子についても、その影響の大きさや方向は変化しているかもしれない。また、そもそも子どもを持たない人が多くなっている中で、子どもがいるという条件付けのある、対象者と対象者の親のデータから、格差・不平等をみるだけでは不十分という指摘もあり、対象者と(いるとすれば)子どものデータから、家族形成のプロセスも含めた格差・不平等研究が進められる必要がある。 本共同研究は、このような家族構造が子どもの達成に与える影響を、主に日本と韓国との比較から明らかにしようとするものである。
- 活動記録
2019/01/23 第1回研究会を開催しました。 2019/02/08 第2回研究会を開催しました。
家族構造が子どもの達成に与える影響についての比較研究
公開データを用いた社会階層構造の検討
- テーマ
- 使用データ
0759~0764 1955~2005年SSM調査,1955~2005
- 研究の概要
社会階層論の分野では、これまで大規模な研究グループを組織して一次分析をおこなうことが主流であった。しかし、SSJDAをはじめとするデータアーカイブの整備により、近年同分野を取り巻く環境は大きく変化しつつある。また、2007年の統計法改正により、研究者が実施した社会調査データだけではなく、政府が実施した公的統計調査の個票データまでもが一定の条件の下に二次分析に対して開かれるに至っている。こうした状況の大きな変化は、社会階層分野の研究者にとって、今後おこなっていくべき研究とそのための調査に関する大きな発想の転換を迫っている。 本研究では公開データを取り巻くこうした状況の変化を踏まえ、とりわけ1980年代以降の社会の変化に着目しつつ、公開データを用いた二次分析が社会階層論にとってもつ可能性の多角的な検討をおこなってきた。具体的には、個人の職業経歴を網羅的に調査したSSM調査や、これらの調査よりサンプル数が大きい公的統計(就業構造基本調査、国勢調査、21世紀出生児・成年者縦断調査、国民生活基礎調査、全国消費実態調査など)の個票データの分析を通じ、現代日本社会における社会階層構造を検討する上での一次分析と二次分析の連携の可能性を検討する。これまで、公的調査データ分析により、サンプル数の問題により困難であった無業者の分析や職業ごとの収入の推定といった研究を行ってきた。本研究ではさらにこれらの分析を発展させ、現代日本社会における社会階層のより精緻な分析を行う。
- 活動記録
2019/03/28 第1回研究会を開催しました。
公開データを用いた社会階層構造の検討
現代日本における格差・不平等の趨勢とメカニズムに関する研究
- テーマ
- 使用データ
0764 2005年SSM調査
PY070 東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)wave1-7, 2007-2013
PM070 東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)wave1-7, 2007-2013- 研究の概要
社会調査に関するデータアーカイブの整備に伴い、複数のデータを用いることで、社会現象を多角的に検討することが可能となっている。格差・不平等というトピックに限定しても、社会階層や社会移動に特化した調査だけではなく、総合的な社会調査、家族調査、若者に対する調査、教育調査など、様々な種類の調査データからアプローチが可能となっている。 こうした複数データの利用可能性またそれによる多角的検討の必要性を踏まえ、本共同研究では主に「社会階層と社会移動全国調査」(SSM調査)と「東大社研・若年パネル調査」「東大社研・壮年パネル」という3つのデータを用いて、格差・不平等の問題にアプローチする。SSM調査は、1955年から10年ごとに実施されており、戦後日本社会における社会階層の構造と趨勢を明らかにする上での貴重なデータである。また、東大社研・若年・壮年パネル調査は、個人間の差異だけではなく、個人内の変化という視点から、比較的最近の出生コーホートの格差・不平等の問題を明らかにすることが可能なデータである。これまでの研究会ではこの3つのデータから、主に労働、教育、家族形成や離家などを中心として分析を行い,その成果を報告してきた。本年度の研究会では、これら分析の結果に加え、他の国で収集されたデータを用いた国際比較分析や海外の先行事例などについてより詳細に検討することによって、日本の制度がいかにして格差・不平等を生み出し、維持しているのか、そのメカニズムに理論的・実証的にアプローチする。
- 活動記録
2018/10/25 第1回研究会を開催しました。 2019/01/10 第2回研究会を開催しました。 2019/03/26 第3回研究会を開催しました。
現代日本における格差・不平等の趨勢とメカニズムに関する研究
ワーク・ライフ・バランスに関するマイクロデータの二次分析
- テーマ
- 使用データ
PY080 東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)wave1-8,2007-2014
PM080 東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)wave1-8,2007-2014- 研究の概要
結婚や出産など家族形成を巡る個人の選択は多様なものとなっている。男性(女性)の生涯未婚率は、1985年の3.9%(4.3%)から2015年には20.1%(14.9%)となり、ほぼ全員が結婚する社会から男性(女性)の5人(7人)に1人が結婚しない社会へと急激に変化している。結婚する場合も男女とも初婚年齢の平均が30年間で約5歳高まっているだけでなく、ばらつきも拡大している。このような個人の選択の広まりについて本研究では、主に20代から30代の男女に焦点を当て、生活環境や職場環境と結婚・出生といったライフイベントの生起のしやすさ・タイミングについて分析を行う。特に家族形成と働き方との複雑な相互関係についてはワーク・ライフ・バランスの実現という観点から丹念に追うこととする。 結婚や出生に対してはこれまでも、社会経済的要因や意識・態度的要因の影響について、個別に多くの分析が行われているが、就業や家族など基本的属性情報に加え、生活様式や意識に関しても様々な情報を有する若年パネル調査および壮年パネル調査、さらには内閣府経済社会総合研究所から寄託された大規模寄託データ(※別紙)も用い、時系列的因果関係も踏まえながら分析することが本研究の特徴である。 社会経済的な客観的事実と意識・態度の両面から個人のライフコースをたどることで、家族形成と働き方という生産・再生産活動に関する個人の戦略を明かにし、ワーク・ライフ・バランスの実現に必要な課題を浮き彫りにしたいと考えている。
- 活動記録
2018/11/22 第1回研究会を開催しました。 2018/12/17 第2回研究会を開催しました。 2019/01/24 第3回研究会を開催しました。 2019/03/28 研究成果報告会を開催しました。
ワーク・ライフ・バランスに関するマイクロデータの二次分析
現代日本における生活時間の構造と変化に関する多角的研究
- テーマ
- 使用データ
0681 生活時間に関するアンケート調査,2007
1164 全国就業実態パネル調査,2017,2017- 研究の概要
近代社会は経済的・社会的効率性を高めるために生活時間の同期化、標準化を進めてきた。ところが、ポスト工業社会と呼ばれる現代社会では、働き方や生き方の多様化が進み、その同期性と標準性が崩れつつある。その様態、要因、社会的帰結を多角的に明らかにすることは、今後の労働政策や社会政策を考える上で不可欠な作業である。 日本でもワーク・ライフ・バランスの重要性に関する認識が広がり、長時間労働に対する問題化と対策が進みつつある。その一方で、労働時間の長短のような量的側面だけではなく、生活時間の編成やパターンまでを対象とする社会科学的な研究は十分に蓄積されてこなかった。しかし日本でも、対人サービス労働や裁量労働などの拡大に伴い、勤務時間の多様化やマルチプルジョブワーカーの増加が観察されるようになっている。それがもたらす生活時間の非標準化は、公共サービス等の社会資源の利用や社会活動への参加における困難など、収入の多寡とは異なる水準における固有の社会的リスクを生起させる可能性がある。以上の問題意識に立って、本共同研究では、就業と生活時間の関係及びそれが生活の質にもたらす影響について、多角的に明らかにしていく。具体的には、社会調査の個票データを利用するだけでなく、社会生活基本調査といった政府統計ミクロデータを利用(併用)した上で、就業構造と生活行動・生活時間の関連性について様々な角度から実証研究を進めていきたい。
- 活動記録
2018/12/12 第1回研究会を開催しました。
現代日本における生活時間の構造と変化に関する多角的研究
戦後日本の社会意識の変容過程についての計量社会学的研究
- テーマ
- 使用データ
0759-0764 1955~2005年SSM調査
0814 日本人の意識調査,1973~2008
PY080,PM080 東大社研・若年壮年パネル wave1~wave8- 研究の概要
本研究会の目的は、第二次世界大戦後から現在に至る日本社会の社会意識の変容過程を大規模な社会調査からの知見を組み合わせることで解明することである。1970年代から2000年代までの社会意識の変容過程については、NHK放送文化研究所世論調査部『日本人の意識調査』の分析により解明されつつあるが(太郎丸博(編)『後期近代と価値意識の変容』東京大学出版会)、(ⅰ)日本社会の産業構造が大きく変容した高度経済成長期(1950・60年代)や(ⅱ)労働市場の流動化やグローバル化がさらに進展された2010年代も含めたかたちで、戦後日本における社会意識の全体的な変化を計量的に把握しようとした研究は存在しない。 そこで、本研究会は『1955年~2005年SSM調査』、『『日本人の意識調査(1973~2008年)』、『東大社研・若年壮年パネル調査wave1~wave8(2007~2014年)』という3つの社会調査データを組み合わせて分析することで、戦後日本における社会意識の変化を解明する。本研究会の具体的課題は以下のとおりである。(Ⅰ)『日本人の意識調査』を対象にAPC分析を行うことで社会意識の変容についての長期的趨勢を明らかにするとともに、(Ⅱ)『1955年SSM調査』『1965年SSM調査』を分析することで1950・60年代の社会意識のありようを、(Ⅲ)『東大社研・若年壮年パネル調査』を分析することで2010年代以降の社会意識の変容を解明する。(Ⅰ)~(Ⅲ)を総合することで戦後日本の社会意識の変容過程を計量的に明らかにする。
- 活動記録
2018/07/08 第1回研究会を開催しました。 2018/10/14 第2回研究会を開催しました。 2018/12/16 第3回研究会を開催しました。 2019/03/16 第4回研究会を開催しました。
戦後日本の社会意識の変容過程についての計量社会学的研究
質的データの二次分析による東日本大震災2年目にみる仮設住宅の生活実態の解明
- テーマ
- 使用データ
0972 宮城県沿岸部における被災地アンケート,2011
1048 第1回 東日本大震災の復興に関する調査,2012
1049 第2回 東日本大震災の復興に関する調査,2013- 研究の概要
本研究会で対象とする3つの調査は、サーベイリサーチセンター及び東京大学情報学環附属総合防災情報研究センターによる、東日本大震災直後から、1年後、2年後の被災者の実態を捉えるデータである。これらは、質問紙調査の形式をとりつつ、傾聴インタビュー調査の膨大な記録を含む点が特色である。 2015年から2016年にかけて、本研究会では、「落ち着き」をキーワードとして、テキストマイニング、KJ法など複数のアプローチから質的データ分析の比較検討を試み、続く2017年には、「仮設住宅」をテーマとして、その議論をさらに深化させてきた。また、各年において日本災害復興学会大会においても分科会を設け、二次分析の課題や可能性について討議を重ねるなど、二次分析としての災害研究が進むべき道筋についても検討を行ってきた。 しかしながら、萌芽的な性格の強い試みであり、とくに2017年には、2016年までの成果を再整理したうえで、新たにテーマとした「仮設住宅」の生活実態について、共通の知的な基盤を改めて形成していく必要があり、その後の分析を意義の高いものとするため、これらの活動に注力をしたという経緯がある。そのため、こうした基盤をもとに未分析の質問項目など調査データなど更なる活用をはかること、新たな分析概念の提示を目指すことなど、残された課題は少なくなく、2018年度は「被災2年目にみる仮設住宅の生活実態の解明」をテーマに、これまでの知見を活かしながら、さらに研究を進めることを計画している。
- 活動記録
2018/06/29 第1回研究会を開催しました。 2018/08/21 第2回研究会を開催しました。 2018/09/18 第3回研究会を開催しました。 2018/10/27 第4回研究会を開催しました。 2018/12/14 第5回研究会を開催しました。 2019/02/27 第6回研究会を開催しました。 2019/03/27 研究成果報告会を開催しました。
質的データの二次分析による東日本大震災2年目にみる仮設住宅の生活実態の解明
日本人海外就業・駐在経験者の日本でのキャリア経験に関する二次分析
- テーマ
- 使用データ
0629,0782,0870 ワーキングパーソン調査(2008,2010,2012)
0951 日本の「雇用をつくる」人材の確保・育成手法の開発に向けての調査,2013- 研究の概要
本研究では、海外就業・駐在経験のある日本人のキャリア経験の状況が、そのような経験を持っていない者と(どのように)異なるのかを検討することを目的としている。その際、就業者個人と海外に事業所を持つ企業の双方の視点からのアプローチを試みる。海外就業・駐在の経験が帰国後のキャリア経験とどのように関連しているのかは、企業側が海外の就業者・駐在員に対して何を期待するのかにも依存しているため、ミクロ・メゾレベル双方からの検討が必要と考えられる。日本人駐在員の規模は縮小し、日本企業は徐々に雇用を現地化しつつあるが、依然として管理的業務などのために日本人スタッフを必要とする状況も存在する。海外で仕事をする者については、主に定性的な研究による蓄積が盛んであるものの、彼らが日本に戻ってからのキャリアを検討した定量的な研究はそれほど多くない。また、海外就業・駐在経験者の比較対象となるのは、そのような経験を持たない者となるが、彼らの日本国内におけるキャリアも多様化している。そのため、海外就業・駐在経験者のキャリア経験の特徴を明らかにするためには、日本国内における「典型的キャリア」、「非典型的キャリア」のそれぞれを歩む者との比較が必要となる。SSJデータアーカイブからは、上記の研究関心に応えるいくつかの調査データが公開されている。データの二次分析を通じて、日本人のキャリアの国際化・グローバル化に関する社会学的理解をさらに深めるとともに、日本人の海外就業者のキャリアについて研究を展開する上で今後どのような点に着目すべきかについても議論を進めたい。
- 活動記録
2018/07/08 第1回研究会を開催しました。 2018/11/03 第2回研究会を開催しました。
日本人海外就業・駐在経験者の日本でのキャリア経験に関する二次分析
高校生の進路意識と、その後のフォローアップ調査の基礎的分析
- テーマ
- 使用データ
0873 高校生と母親調査,2012
1064 高校生と母親調査,2012(偏差値データ)
高校生と母親調査(追跡調査),2016- 研究の概要
2012年に実施した高校生と母親のペア調査(寄託されたデータ)の対象者が、その後現実にどのような進路を歩んでいるかを確認することで、高校生時代の生活や意識と実際の進路選択との関係がより明確になる。本研究会の目的は、2012年の調査と、2016年に行われたフォローアップ調査を用いて、高校生時代の生徒本人と母親の意識、両者の関係性、また生活スタイルや家庭環境が、現実の進路選択にいかなる影響を与えたかどうか、高校生時代の希望進路が実現しているか否か、また高校時代の希望から現実の進路が変更されているとすれば、それはいかなる要因なのか、どういった人が進路希望を変更する傾向があるのかを確認することにある。高校生のパネル調査は(学校を通して行った場合)、卒業後のフォローアップが困難になりがちだが、本調査は学校を通しておらず、却って比較的高い継続率を維持している。したがって、高校卒業後の実際の進路選択を、かなりの程度把捉することが可能となっている。本年はまず、2012年調査と2016年のフォローアップ調査の両方をマッチングさせつつ、個人内の変動を詳細にわたって検討する。その中で、格差が拡大し、進学への多大なコストから、家計への負担が社会問題とされている現在にあって、高校生が進学・非進学の進路決定を行う際に、何が制約条件となっているのか、あるいは何が進学を促進する要因となっているのか、などについて明らかにしたい。
- 活動記録
2018/07/07 第1回研究会を開催しました。 2018/10/13 第2回研究会を開催しました。 2018/11/17 第3回研究会を開催しました。 2018/12/25 第4回研究会を開催しました。 2019/02/02 第5回研究会を開催しました。 2019/03/27 研究成果報告会を開催しました。
高校生の進路意識と、その後のフォローアップ調査の基礎的分析
ダイアド・データを用いた家族研究の検討:夫婦、親子、きょうだい関係を中心として
- テーマ
- 使用データ
0191,0517,0617 家族についての全国調査,1999,2004,2009(NFRJ98,NFRJ03,NFRJ08)
0386 現代核家族調査,1999,2008
0873 高校生と母親調査,2012
1064 高校生と母親調査,2012(偏差値データ)- 研究の概要
家族研究の重要な関心事の1つは、親子・夫婦・きょうだいなど、世代間・世代内の二者(ダイアド)関係における相互作用のありようを明らかにすることにある。このため、欧米の家族研究では、ダイアド・データの重要性が早くから指摘され、1980年代からデータの収集や分析手法に関する研究を蓄積されてきた。近年ではパネルデータを組み合わせることにより、ダイアド内における個々人の発達過程に加え、時間軸を視野に入れた相互影響関係を捉える試みもなされている。 日本でもダイアド・データへの関心が高まりつつある。2017年度参加者公募型研究会(東大社研)では、同一家族の妻・夫・子の3者から収集されたデータを用いた研究会が開催され、ダイアド・データを活用した研究が蓄積される一方、その問題点(回収率、調査コスト、推定モデルの複雑性など)なども指摘された。また、「全国家族調査」(NFRJ)では、回答者の配偶者、父母、配偶者の父母、子ども、きょうだいなどについて質問を行うダイアド集積型の調査が実施され、個人や個々のダイアド関係を超えた「家族」の特性を明らかにする可能性が示されている。 こうした状況をふまえ、本共同研究では、ダイアド・データを含め、同一家族における複数の構成員から収集されたデータを有効活用するための分析手法の検討・習熟を行い、複眼的な視点から家族を捉える試みを行う。使用するデータは、ダイアドを構成する回答者(アクター)とその相手(パートナー)の双方から収集したデータ(「現代核家族調査」(1999,2008など)のほか、前述したダイアド集積型のデータ(「全国家族調査(NFRJ)」など)も含む。
- 活動記録
2018/08/28 第1回研究会を開催しました。 2018/11/30 第2回研究会を開催しました。 2019/02/21 第3回研究会を開催しました。
ダイアド・データを用いた家族研究の検討:夫婦、親子、きょうだい関係を中心として