東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター

課題公募型二次分析研究会

2021年度

活動記録

高校生の進路選択とジェンダー:高等教育の多様性に注目して

  研究の概要は こちら

戦後福祉国家成立期の福祉・教育・生活をめぐる調査データの二次分析

  研究の概要は こちら

高校時の進路意識や家族が進路選択や進路決定に与える影響についての二次分析

  研究の概要は こちら

社会階層の実態と変容に関する二次分析

  研究の概要は こちら

夫婦関係・職場環境・キャリア―夫婦ペアパネルデータによるアプローチ

  研究の概要は こちら

高校生の進路選択とジェンダー:高等教育の多様性に注目して

テーマ

高校生の進路選択とジェンダー:高等教育の多様性に注目して

使用データ

子どもの生活と学びに関する親子調査
0533 進路選択に関するふりかえり調査,2005
0892 高校生の進路についての追跡調査
PY100 東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)Wave 1-10, 2007-2016
PM100 東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)Wave 1-10, 2007-2016

研究の概要

 高校卒業者に占める女性の大学学部進学率は2018年に初めて5割を超え、日本でも大学進学機会の男女差はなくなりつつある。その一方で、どのような進路を選択するかにはジェンダーによって大きな違いがある.代表例の一つは男女の専攻の違いである。女性は男性に比べて理数系の科目を選好しにくく、進学先の専攻はSTEM系になりにくい。大学専攻によるリターンは異なり、STEM系の方が将来の賃金が高いため、専攻における男女の違いが労働市場における男女の賃金格差を生じさせている可能性がある。また、高等教育が大衆化する中でも、一部の威信の高い職業や地位へのアクセスには学校歴の役割が無視できない。しかし、選抜的大学へのアクセスは、男性によって多く占められている。さらに、日本では四年制大学以外にも、女性が極めて多い短期大学、あるいは高等教育とは異なる学校体系としてシェアを増加する専門学校が特徴的であり、すでに先行研究によって希望する進路によって女性の職業アスピレーションが異なることが報告されている。
 なぜSTEM系や威信の高い選抜的大学に女性が少ないのだろうか?どのような女性が短期高等教育機関(短期大学・専門学校)に進学するのか?高校生の進路選択のジェンダー差が、どのタイミングで、どのような要因によって生じるか、包括的に検討した先行研究は少ない。SSJデータアーカイブに所蔵される複数のパネルデータ・総合社会調査データを、多様な関心・学問的バックグラウンドを持つ研究者が再分析することを通じて、本研究会はこの問いへの答えを一歩先に進める。男女で高校卒業後の進路が分岐するメカニズムを明らかにすることは、先進国の中で特に大きいとされる日本のジェンダー格差を縮小していくための、手がかりを提示することになるだろう。

活動記録
2021/06/01第1回研究会を開催しました。
2021/07/05第2回研究会を開催しました。
2021/08/23第3回研究会を開催しました。
2021/08/30第4回研究会を開催しました。
2021/10/28第5回研究会を開催しました。
2021/11/22第6回研究会を開催しました。
2022/01/17第7回研究会を開催しました。
2022/03/07研究成果報告会を開催しました。

戦後福祉国家成立期の福祉・教育・生活をめぐる調査データの二次分析

テーマ

戦後福祉国家成立期の福祉・教育・生活をめぐる調査データの二次分析

使用データ

0001    新規学卒者(中卒)労働市場調査,1953
1207    京浜工業地帯調査(従業員個人調査)
1213    貧困層の形成(静岡)調査
1311    団地居住者生活調査
1331    「ボーダー・ライン層」調査
労働調査61 福祉資金行政実態調査
労働調査62 老齢者生活実態調査

研究の概要

  2010年より申請者が東大社研と協力しながらデータ復元を開始し、また、2011〜2020年度までの10年間、橋本健二、森直人、渡邉大輔、石島健太郎の各氏が代表として協力を得ながら、社会科学研究所が所蔵する労働調査資料の復元二次分析を課題公募型二次分析研究会として行ってきた。その結果、戦後福祉国家形成期における福祉・教育・生活の様子が素描されると同時に、当時の別の統計資料との接合や、展開期の制度への目配り、世帯を対象としたデータを扱う方法の洗練、ひいては本復元データが持つ実証的射程など、こうした復元データの分析に特殊な課題も浮き彫りとなった。
 本年度は、こうした課題を引き受けつつ、これまでの分析をさらに進め、書籍刊行原稿の作成とデータの寄託を進め、新たな萌芽的研究の報告も行っていく。具体的には、2019年度の報告会にかわる成果物としてのワーキングペーパーの書籍化を目指し、ここから、戦後の福祉国家形成期の日本社会を描く総合的な研究成果をまとめる。くわえて、「福祉資金行政実態調査」および「老齢者生活実態調査」のクリーニング作業を行い、公開可能なデータの寄託を目指しながら、萌芽的研究報告の報告を支援しあっていく。そのために、2か月に1回程度、研究会を行い、書籍原稿の検討、新しい分析内容についての報告、必要に応じて集中的なクリーニング・コーディング作業を行う。この作業のなかで、若手研究者に作業補助を仰ぐことも検討している。このほか、当時の調査にかかわった研究者への聞き取り調査を必要に応じて行う。これらの作業と分析報告を積み重ねていくことにより、復元データの二次分析からこそ新たに生み出される戦後社会像の析出を目指す。

活動記録
2021/06/21第1回研究会を開催しました。
2021/08/12第2回研究会を開催しました。
2021/09/22第3回研究会を開催しました。
2021/10/13第4回研究会を開催しました。
2021/11/29第5回研究会を開催しました。
2021/12/14第6回研究会を開催しました。
2021/12/15第7回研究会を開催しました。
2022/01/21第8回研究会を開催しました。
2022/02/09第9回研究会を開催しました。
2022/03/18研究成果報告会を開催しました。

高校時の進路意識や家族が進路選択や進路決定に与える影響についての二次分析

テーマ

高校時の進路意識や家族が進路選択や進路決定に与える影響についての二次分析

使用データ

0873 高校生と母親調査、2012
1064 高校生と母親調査、2012(偏差値データ)
高校生と母親調査(追跡調査)、2016

研究の概要

 本共同研究の目的は、高校2年生とその母親を対象として行われた「高校生と母親調査、2012」(調査番号0873)およびそのフォローアップ調査(2016年)のデータを用いることで、高校2年時の高校生本人の意識や態度だけではなく、母親の意識・態度が出身背景の影響を媒介して、その後の決定進路に対してどのような影響を与えるのかを多角的に明らかにする。本調査データの特徴としては、高校2年生の社会経済的背景(親の学歴,職業,世帯の収入など)が母親の回答からより正確に分かるだけではなく、進路選択に関するさまざまな意識(進路についての負担や便益,職業達成についての見込み)などをたずねており、進路選択やその格差・不平等についての詳細なメカニズムにアプローチすることが可能である。また、フォローアップ調査からは、進路先の学部・学科も含めた決定進路、奨学金の利用状況、その時の家庭の社会経済的状況などについても把握可能であり、これらの情報を活用した分析(たとえばSTEMについての分析)も可能となっている。さらに親子ペアのデータであるため、母親の意識と子どもの意識のズレやどちらが決定進路に対してより影響力があるのかについて注目した分析も可能となっている。このようなデータを用いた様々な分析の可能性や今後の新たな調査の課題を検討しつつ、日本における進路選択や教育格差生成のメカニズムにアプローチする。

活動記録
2021/07/05第1回研究会を開催しました。
2021/08/24第2回研究会を開催しました。
2021/09/28第3回研究会を開催しました。
2021/10/25第4回研究会を開催しました。
2021/11/26第5回研究会を開催しました。
2021/12/21第6回研究会を開催しました。
2022/01/24第7回研究会を開催しました。
2022/02/23第8回研究会を開催しました。
2022/03/22研究成果報告会を開催しました。

社会階層の実態と変容に関する二次分析

テーマ

社会階層の実態と変容に関する二次分析

使用データ

0759~0764 1955~2005年SSM調査,1955~2005
PY100 東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)Wave 1-10, 2007-2016
PM100 東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)Wave 1-10, 2007-2016

研究の概要

 SSJデータアーカイブでは多くの社会調査のデータが公開されてきており、社会階層研究を行う上で、様々なアプローチが可能になった。また、統計法の全部改正によって、様々な公的統計の個票データが活用可能となった。公的統計データの社会科学的研究への活用は、主に経済学を中心に行われてきたが、大規模なサンプルから、格差・不平等の詳細やトレンドを明らかにすることができる公的統計データは、社会学にとっても極めて貴重である。公的統計データが利用できるようになってから数年が経過し、社会学においても様々な分析が試みられているが、まだ十分に分析されているとは言い難い。そこで本共同研究では「国勢調査」「就業構造基本調査」「国民生活基礎調査」「21世紀出生児縦断調査」「21世紀成年者縦断調査」「学校基本調査」を中心とした様々な公的統計データを活用した社会階層に関する分析を行う。具体的には、公的統計の個票データの分析により、これまでサンプルサイズが小さく分析の困難であった無業者の分析や、世帯構造を加味した分析、夫婦や親子の分析、疑似パネルデータの作成、そして職業や学歴ごとの収入の推定などを行う。その際、SSJデータアーカイブに寄託されている様々な社会調査データと結果を比較する分析や、公的統計から作成された結果を社会調査データとリンクさせた分析を行う。

夫婦関係・職場環境・キャリア―夫婦ペアパネルデータによるアプローチ

テーマ

夫婦関係・職場環境・キャリア―夫婦ペアパネルデータによるアプローチ

使用データ

PY100 東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y) Wave1-10,2007-16
PM100 東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M) Wave1-10,2007-16
PH010-090 東大社研・高卒パネル調査(JLPS-H) Wave1-9,2004-12

研究の概要

 共働き世帯が増加する中,夫婦ともに結婚や出産などのイベントと就業とのバランスを考えることが求められている.日本では,女性に家事育児労働の負担が偏っている現状がいまだに報告されているが,性別分業体制がいつ・どのようにして形成されるのかを明らかにする必要がある.近年では男性の家事育児参入の促進のため,働き方改革に焦点が当てられているが,職場環境と夫婦関係の相互作用についても十分な検討はされてきていない.
 これまでの家族研究では,調査時点における回答者と配偶者の情報を用いて夫婦間の相互作用が検討されてきたが,回答者に配偶者の情報を尋ねるという方法では,配偶者の意識や詳細な職場環境といった項目について十分に収集することができなかった.夫婦間の認識のずれや一方の環境が他方に与える影響を検討するためには,夫婦のダイアドデータが必要となってくる.さらにそうした夫婦の相互作用がライフコースの軸の中でどのように変化していくのかについて検討するためには,夫婦のダイアドデータを複数年にわたって追跡調査することが必要である.
 そこで本共同研究では,既存の高卒パネル調査,および若年・壮年パネル調査のデータを用いた上で,高卒調査の配偶者票を用いて夫婦ペアパネルデータを作成し,夫婦関係が出産や子育てを経てどのように変化するのか,職場環境と家庭生活がどのように関連していくのか,個人のキャリアが配偶者の影響を受けてどのように変化するのか,といった課題についてアプローチする.

活動記録
2021/10/13第1回研究会を開催しました。
2021/11/17第2回研究会を開催しました。
2021/12/28第3回研究会を開催しました。
2022/02/17第4回研究会を開催しました。
2022/03/23研究成果報告会を開催しました。

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