東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター

プレスリリース

2020年2月27日発表

第13回調査(2019年1~3月実施)と第1回リフレッシュサンプル調査(2019年1~3月実施)の集計結果について、プレスリリースを行いました。

パネル調査から見る初職への移行、職業キャリア、介護問題

発表のポイント
  • 13年間にわたりパネル調査(同一の人々への追跡調査)を行ってきたが、調査対象者の加齢に伴い、20歳代の若年者層が対象外となっている。そこで、新たに「リフレッシュサンプル」として、継続調査より若い層である20-31歳(2019年時点)を対象として調査を実施した。
  • 2019年に行われた最新の調査データを、これまでの13年間のパネル調査結果と比較し、ライフステージや生活状況の変化を分析したところ、学校経由の就職率が上昇していること、配偶者あるいは子どものいる女性は正規雇用就業者割合が上昇していることが明らかとなった。また、継続調査で新たに尋ねた介護に関する質問の分析結果からは、両親の住まいが近いほど親の介護をする傾向があることが明らかとなった。
  • 分析結果から、社会経済状況が変化するなかで、初職移行経路の変化、職業キャリアの変化、家族介護や介護サービス利用にも変化が生じていることが確認された。本調査のさらなる継続により、ライフステージにおける意識や行動を精確に把握することが可能になると期待される。
発表内容

東京大学社会科学研究所の石田浩教授らの研究グループは、2007年より「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」(Japanese Life Course Panel Survey-JLPS)を毎年実施している。本調査は、急激な少子化・高齢化や経済変動が人々の生活に与える影響を解明するため、日本に生活する若年・壮年層の働き方、結婚・出産といった家族形成、ライフスタイルや意識・態度などがどのように変化しているのかを探索することを目的としている。本調査は、同一の人々に繰り返し尋ね続ける「パネル調査」という手法を用いている点に特色があり、同じ個人を追跡することにより、個人の行動や意識の変化を跡付けることができる。

今回は、2019年調査(2019年1~3月実施3,257名)と、新たに実施したリフレッシュサンプル調査(2019年1~3月実施:回答者2,380名)を用いて、(1)学校から初職への移行、(2)初期職業キャリアの移動とその背景、(3)家族介護と介護サービス利用という3つのトピックを分析した。

  1. 学校から職場への移行過程を取り上げ、学校の役割が顕著である高校での就職指導に焦点を当てて分析を行った。学校を通した「学校経由」の就職は、それ以外の経路の就職と比べ、卒業後「間断なく」就職した者の比率、初職が正規職の比率、初職が大企業の比率が高く、この傾向は1990年代から2000年代前半に就職した人々と2000年代後半以降に就職した人々で共通してみられた。
  2. 学卒後初めてついた仕事(初職)と現在の仕事(現職)の間の移動とその背景について分析した。1990年代後半から2000年代前半に入職した人々と、それ以降に入職した人々を比較したところ、男性については就業状況の分布に大きな変化はみられなかった。一方、女性については正規雇用の割合が上昇し、無業の割合が低下しており、その傾向は結婚や子どもの有無を問わず共通していた。以前よりも女性が正規雇用として働きやすくなった背景として、男女ともに長時間労働が減少していることや、若干ではあるが夫の家事参加の増加が考えられることも、追加の分析から明らかとなった。
  3. 調査対象者のうち、父親が健在なのは約67%、母親が健在なのは約85%であった。また、約70%が「1時間未満」の場所に父母の住まいがある。父母ともに約6.5%が介護が必要な状況にあり、父母の介護が必要な対象者のうち、約80%が父母ともに要支援または要介護認定を受けている。平均的な介護時間でみた場合には、主な介護提供者は非家族(介護事業者)である。父母の介護が必要な対象者のうち、いずれの「サービスも利用していない」と回答したのは父親で30%、母親で25%であった。

さらに詳しい内容は、詳細資料をご覧下さい。PDF版:898KB)

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